第2話 淡い青春

淡い青春

其の1

Mは、芸大の学生だった時に京都に住んでいました。その日は、夜中まで友人と飲み歩き最後に行ったお寿司屋での事です。そろそろ帰ろうかと言う時に、彼は折詰のお寿司を注文しました。上にぎりを詰めてもらい板前さんが蓋をしようとした時です、Mは、ためらいながら言いました。「あのー、、、、 のりをハート形に切って乗せてもらえませんか」。板前さんは、にやっと笑いながら大きなハートを器用に切り抜きお寿司の上にのせました。真夜中に、お目当ての彼女のアパートに着くと「いっしょにお寿司食べない」と言って折詰を差し出すと、「うわー、おいしそう」と言って彼女が蓋を開けたのですが、ハートがどこにも見当たりません。酔った頭をかかえながら、ふとゴミ箱に目をやると蓋の裏に大きなハートがべったりと張付いていました。

 

其の2

Tが、ドイツのユースホステルに長期滞在していた時の事です。中庭をはさんだ向いの部屋で事務をとっている彼女が好きでした。思案したあげく手紙を書き、その紙で飛行機を折りました。2階の窓からねらいをさだめて投げると、運良く開け放された窓へ入り、彼女の足元に落ちました。こんなにうまくいくとは思っていませんでした。

彼女は、紙飛行機を拾い上げてゴミ箱に入れました。

   2015